Between the Lines Vol.3
今回、CCJでは『TRIANGLE – First Stage –』という公演を企画しました。
タイトルにある「TRIANGLE」という言葉には、いくつかの意味を重ねています。
まず一つは、観客、ダンサー、制作者。
舞台を成立させる三つの存在です。
この三者が出会うとき、舞台は初めて立ち上がります。
今回の公演では、三名の振付家による作品を上演します。異なる美学を持つ振付家たちが並ぶこと自体も、もう一つのトライアングルだと感じています。三名の振付家は、CCJの活動の中で継続的に創作を重ねてきた作り手たちです。それぞれの視点が出会うことで、舞台の可能性はさらに広がっていくのではないかと感じています。
作品についての詳しい話は、振付家それぞれがInstagramなどでも発信していくと思いますので、ぜひそちらも覗いてみてください。
CCJではこれまで、スタジオにおいて文学作品をもとにした創作や、タロットをモチーフとした作品づくりなどに取り組んできました。今回の公演では、その延長線上にある二つの作品を上演します。
一方で、CCJではバレエを基礎としたコンテンポラリーダンスの表現を、少しずつ広げていきたいとも考えています。その橋渡しとなる試みとして、「ネオクラシック」という領域の作品を新たに創作しました。
こうして、性格の異なる三つの作品による三部構成となりました。
また今回、CCJでは新たにアソシエイトダンサーを募集しました。振付家とダンサーが継続的に創作を重ねていく環境をつくるための、小さな試みです。日本の舞踊界では、ダンサーは作品ごとに集まり、またそれぞれの場所へ戻っていくことが多くあります。
その自由さは魅力でもありますが、一方で創作が継続して積み重なっていく環境はまだ多くありません。
CCJでは、振付家、ダンサー、そして観客が出会いながら、少しずつ作品が生まれていく場所をつくりたいと考えています。
そして私自身、長くこの業界に関わる中で、クラシックバレエとコンテンポラリーのあいだには、いまだに見えない壁があると感じています。今回は、その境界を行き来する試みでもあります。古典の身体性と現代の感覚、その両方を往復しながら、今の舞踊の時間を立ち上げていけたらと思っています。
この公演は、CCJが2026年へ向けて進めている劇場プロジェクトの最初の一歩でもあります。
この舞台が、多くの方の応援とともに、少しずつ育っていけたら嬉しく思います。
劇場でお目にかかれましたら幸いです。
上演作品
『愚者の旅』
振付:石原一樹
音楽:クロード・ドビュッシー 他
出演:吉川留衣 宮本祐宜 大岩絹依 佐藤美桜 島津華子 新ヶ江天音 鈴木彩矢 中村胡桃 森田由依
『精霊物語』
振付:渡部義紀
音楽:フランツ・シューベルト 他
出演:清田カレン 杉山桃子 今井和奏 川浪ともな 櫻井美咲 鈴木彩矢
『シェイクスピアスイート』
振付:岡本壮太
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ 他
出演:川島麻実子 今井和奏 大岩絹依 川浪ともな 櫻井美咲 島津華子 新ヶ江天音 中村胡桃 岡本壮太 渡部義紀
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中沢恭子(なかざわ きょうこ)
CCJ(一般社団法人コレオグラフィックセンター)代表
東京生まれ。国立音楽大学を卒業後、公益財団法人日本舞台芸術振興会(NBS)にて、オペラ・バレエ・オーケストラを含む舞台芸術全般にわたり、主要海外オペラハウスの招聘公演に携わる。あわせて、同財団が運営する東京バレエ団および附属バレエ学校のマネジメントを担当。その後、株式会社サヤテイ代表として、首藤康之、中村恩恵をはじめとする第一線の舞踊家のマネジメント、公演企画・プロデュース、キャスティングを手がける。アーティストが創作に集中できる環境づくりを軸に活動し、プロデュースしたアーティストが紫綬褒章や文部科学大臣賞を受賞するなど、その取り組みは舞踊界の発展にも結実している。アーティスト一人ひとりの人生に寄り添う現場経験から、舞踊を取り巻く構造そのものへの問いを深め、一般社団法人コレオグラフィックセンター(CCJ)を設立。
現在は代表理事として、舞台制作・教育・キャリア支援を横断するプラットフォームを拠点に、次世代のダンサーと観客をつなぐ新しい舞台芸術のあり方を探求している。




