CCJJournal

  • Dance

2025.06.17

「踊る衝動に、開かれた場所を」

JACK in the BOX という試みについて

バレエ・コンテンポラリー、舞踊の世界で活動していると、出会いたいダンサーやお客様がどこかに必ずいると分かっていても、その存在があまりにも点在していて、なかなか出会えない—そんなもどかしさに直面することがあります。

私は自分自身が踊るわけではありません。けれど、これまで多くのダンサーと対話を重ね、目の前の身体の変化や静かな衝動に触れるたびに、「この人の踊りを今もっと多くの人に観てもらいたい」と強く思ってきました。
それでも、ダンサーと観客、両者がどこかにいるのは分かっていながらも、なかなか接点を持つことができない。焦りにも似たもどかしさ——見つけられない出会いが、まだまだあるような感覚がありました。

《JACK in the BOX》は、そんな背景から立ち上げた、公募形式のパフォーマンス企画です。

名前の通り、「箱を開けたら何が飛び出すかわからない」。即興や短編、未完成な衝動でもいい。形式やジャンルにとらわれず、「いま、これを踊りたい」「この瞬間を形にしたい」という気持ちがあれば、それだけで舞台に立つ理由になります。
私はこの場を、「完成された大きな作品を披露する場所」というよりも、「届くかどうかもわからない何かを、それでも届けたいと思う衝動」が見える場にしたいと考えました。

お客様には、“生まれたての動き”や、“踊りそのものが立ち上がる瞬間”を目撃していただくために、劇場ではなく小さな空間で、“今ここ”にしかない身体と出会っていただけたら嬉しいです。

なお、第1回目となる今回は、照明家・写真家・音楽家とのコラボレーションも含め、空間そのものを柔らかく変化させながら進めています。
リハーサルを重ねてつくり込むのではなく、その場の出会いや感覚の交差を大切に。だからこそ、完成された作品でなくてもいい。名前のない動きでもいい。その試みに共鳴してくださる方と、この場をともに育てていけたらと思っています。

CCJではこれまで、《文学シリーズ》や《SOLOS》といった少人数による濃密な創作を通じて、バレエダンサーやコンテンポラリーダンサーと深く関わることの価値を大切にしてきました。

一方で、もっと軽やかに、偶発的な出会いや実験的な挑戦を受け止める場所も必要だと感じてきました。
《JACK in the BOX》は、そうしたもう一つの軸として、今後も継続していきたい企画です。

CCJとしてはこの場所を通じて、意欲的に活動するダンサーと出会いたい。
また、ダンスそのものに関心を持ち、観ることを楽しんでくださるお客様と、ゆるやかにつながっていきたい。

そして、この場から新たなつながりや企画が生まれ、次の創作につながっていくことを願っています。

ダンスの世界に足を踏み入れて間もない方も、踊り続けてきた方も—
「何かやってみたい」「誰かに届けてみたい」と感じたら、ぜひこの箱の中へ飛び込んでみてください。

そして、観てくださる皆さまも、何が起こるかわからないライブ感を、どうぞご一緒に楽しんでください。

すぐに大きな成果が生まれる企画ではないかもしれませんが、ここでの出会いや挑戦が、やがて大きな創作や舞台へと育っていく。
そんな芽を、大切に育てていける場所になればと、心から願っています。

CCJ 代表
中沢恭子

JACK in the BOX vol.1
日時:2025年6月19〜21日 19:30開演(19:00開場)
会場:CCJ STUDIO
東京都港区海岸3丁目12−9 2F
ゆりかもめ芝浦ふ頭駅より徒歩3分
JR田町駅東口より徒歩13

チケットのお申し込みこちらからお願いいたいします。

皆さまのご来場をお待ちしております。

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