錚々たる演奏家の名演を集めた
堂々22枚組CD-BOXの登場。
ディアギレフが成し遂げたバレエ・リュスという奇跡
ディアギレフはバレエ・リュスというカンパニーを創設し、1909年に芸術・文化の中心地パリのシャトレ座で、目の肥えた観客を前にお披露目公演を行いました。ヨーロッパの端からやってきたバレエ・リュスは、以後約20年、パリやロンドンで最先端の芸術を発信する強力な磁場となりました。
ディアギレフは芸術家ではありませんでしたが、音楽サロンを開くような恵まれた家庭環境で育ったおかげで音楽性が養われ、かつ美術雑誌『芸術世界』を刊行したりと抜群の芸術センスを持つ稀有な人でした。彼がバレエ・リュスをプロデュースしていく際、舞台美術、衣装、音楽、ポスター、脚本等、バレエを取り巻く諸芸術にも抜かりなく目を配ったのは当然のことで、それを実現させる一流の芸術家が集まり、どこをとっても最高のパフォーマンスが発揮されたのでした。ディアギレフは人と人とを繋ぐ、そして新たなクリエーションを生み出す、さらにどのアーティストも等しく舞台制作のためにアイディアを出し合える状況をつくったのでした。その結果、短い期間でしたが、バレエが時代の芸術をリードする座に着くことになったのです。史上初のことでした。
バレエ・リュスに関わりたい、ディアギレフと仕事をしたいと願う画家や音楽家が、なんとかディアギレフとコンタクトを取れないものか躍起になっていたというのもわかります。そんなわけで、ドビュッシー、ラヴェル、プーランク、サティ、ミヨー、グラズノフ、R・シュトラウス、ストラヴィンスキー、ラフマニノフ、モントゥー、アンセルメといった作曲家や指揮者、バクスト、マティス、ピカソ、ブラック、シャネル、デ・キリコといった美術家、ホーフマンスタール、コクトーら文人、そしてフォーキン、ニジンスキー、マシーン、バランシンらバレエにとどまらない偉大な芸術家であるダンサー、振付家が集って、数々の名作がつくり出されたのです。
私設のバレエ・カンパニーが、音楽も振付も舞台美術も台本も、なにもかも新規で作品をつくって絶え間なく上演するなどということは、現在でも奇跡に近いことです。ストラヴィンスキーが作曲した三大バレエ音楽『火の鳥』『ペトルーシュカ』『春の祭典』は、バレエ・リュスでの仕事です。ストラヴィンスキーはディアギレフにしごかれ、まずバレエ音楽で作曲家としての名声を手に入れたのでした。またディアギレフは新作の曲だけではなく、たとえばドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』(1894年)を使用し、『牧神の午後』として発表(1912年)、ニジンスキーが踊りセンセーションを巻き起こしました(その後ドビュッシーはバレエ・リュスのために『遊戯』(1912年)を書き下ろし、1913年に初演)。他にもシューマンの『謝肉祭』という19世紀前半の作品にフォーキンが振り付けたり、ショパンの複数のピアノ曲をうまく組み合わせ管弦楽に編曲し『レ・シルフィード(ショピニアーナ)』(フォーキン振付)に、と既存の曲の使い方もとても洒落ています。
耳で楽しむバレエ・リュス
22枚に及ぶCDには、ディアギレフがパリで旗揚げ公演を行った1909年から年代順に上演された作品の音楽が収録されています。バレエ・リュスのレパートリーということでチャイコフスキーの『白鳥の湖』、『眠れる森の美女』、アダンの『ジゼル』も収録されています。
ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮、フィルハーモニア管弦楽団による1954年の録音の、交響詩『タマーラ』(バラキレフ作曲)は長い時を経て今回初のCD化となります。
また、1913年の初演時に音楽史に残る大騒動となった『春の祭典』、その時の指揮者はピエール・モントゥーだったのですが、そのモントゥーが1929年に録音した『春の祭典』がボーナスディスクとして22枚目のCDに収録されています。初演指揮者による演奏が楽しめるわけです(『春の祭典』はCD10にマルケヴィチ指揮、フィルハーモニア管による演奏もあります)。
22枚を連続して聴いて、バレエ・リュスの舞台を想像してみたり、彼らが活躍した時代の熱気に思いを馳せてみてはいかがでしょう。
CD1
《シーズン1909年》
ニコライ・チェレプニン:バレエ音楽「アルミードの館」Op.29
[演奏]ヘンリー・シェク(指揮)モスクワ交響楽団
[録音]XI.1994, Mosfilm Studio, Moscow [音源]Marco Polo
CD2
《シーズン1909 -1910年》
ニコライ・チェレプニン:バレエ音楽「アルミードの館」Op.29
[演奏]ヘンリー・シェク(指揮)モスクワ交響楽団
[録音]XI.1994, Mosfilm Studio, Moscow [音源]Marco Polo
CD3
《シーズン1910年》
アダン:バレエ音楽「ジゼル」(ビュッセル編)
[演奏]ロバート・アーヴィング(指揮)フィルハーモニア管弦楽団
[録音]29-30.V.1961, Abbey Road Studio No. 1, London
CD4
《シーズン1910年》
シューマン:「謝肉祭」Op.9
(アレンスキー、グラズノフ、クレノフスキー、ペトロフ、
R=コルサコフ、カラファーティ、チェレプニン、リャードフ、
ヴィンクラー、ヴィートリス、ソコロフ、による管弦楽編曲版)
[演奏]ロバート・アーヴィング(指揮)フィルハーモニア管弦楽団
[録音]7 & 10.IV.1959, No. 1 Studio, Abbey Road, London
2021年 24bit/192kHzリマスター音源使用
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「火の鳥」
[演奏]小澤征爾(指揮)ボストン交響楽団
[録音]30.IV.1983, Symphony Hall, Boston
CD5
《シーズン1911年》
チェレプニン:バレエ音楽「ナルシスとエコー」Op.40
[演奏]ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー(指揮)
ハーグ・レジデンティ管弦楽団、ハーグ室内合唱団
[録音]1998, Dr Anton Philipszaal, The Hague [音源]CHANDOS
ウェーバー(ベルリオーズ編):「舞踏への勧誘」
[演奏]アンドレ・クリュイタンス(指揮)パリ音楽院管弦楽団
[録音]29-30.XI & 1.XII.1965, Salle Wagram, Paris
CD6-7
《シーズン1909 -1910年》
チャイコフスキー:バレエ音楽「白鳥の湖」Op.20(全曲版)
[演奏]アンドレ・プレヴィン(指揮)ロンドン交響楽団
[録音]26-28.V & 8-10.VI.1976, Kingsway Hall, London
CD8
《シーズン1911年》
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1947年版)
[演奏]サイモン・ラトル(指揮)バーミンガム市交響楽団
[録音]X.1986, Arts Center, Warwick
デュカス:舞踏詩「ラ・ペリ」
[演奏]ジャン・マルティノン(指揮)フランス国立放送管弦楽団
[録音]21.IX.1971, Maison de l’O.R.T.F., Paris
ドビュッシー:「牧神の午後への前奏曲」
[演奏]サイモン・ラトル(指揮)ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
[録音]17-19.IX.2004, Philharmonie, Berlin
CD9
《シーズン1912年》
バラキレフ:交響詩「タマーラ」
[演奏]ロヴロ・フォン・マタチッチ(指揮)フィルハーモニア管弦楽団
[録音]13.XII.1954, Kingsway Hall, London
※初CD化、2021年 24bit/192kHzリマスター音源使用
ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」(全曲)
[演奏]アンドレ・クリュイタンス(指揮)パリ音楽院管弦楽団
[録音]1 & 4-8.VI.1962 Salle Wagram, Paris
CD10
《シーズン1913年》
ドビュッシー:舞踏詩「遊戯」
[演奏]アンドレ・クリュイタンス(指揮)パリ音楽院管弦楽団
[録音]11, 12 & 14.IX.1963, Salle Wagram, Paris
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」
[演奏]イーゴリ・マルケヴィチ(指揮)フィルハーモニア管弦楽団
[録音]10, 12-13.I.1959, No. 1 Studio, Abbey Road, London
フローラン・シュミット:バレエ音楽「サロメの悲劇」組曲
[演奏]ジャン・マルティノン(指揮)フランス国立放送管弦楽団
[録音]13-14.X.1972 , Salle Wagram, Paris
CD11
《シーズン1914年》
R.シュトラウス:バレエ音楽「ヨゼフ伝説」(交響的断章)Op.63
[演奏]ルドルフ・ケンペ(指揮)ドレスデン・シュターツカペレ
[録音]III.1974, Lukaskirche, Dresden
ストラヴィンスキー:歌劇「うぐいす」
[演奏]ナタリー・デセイ(ソプラノ:夜鳴きうぐいす)
マリー・マクローリン(ソプラノ:料理人)
ヴィオレータ・ウルマーナ(アルト:死神)
ヴィセヴォロド・グリヴノフ(テノール:漁夫)
アルベルト・シャギドゥリン(バリトン:中国の皇帝)
ロラン・ナウリ(バリトン:従者)
マキシム・ミハイロフ(バス:僧侶)、他
パリ・オペラ座管弦楽団&合唱団
ジェイムズ・コンロン(指揮)
[録音]6-9.II.1999, Maison de l’Orchestre National d’Ile-de-France, Alfortville
CD12
《シーズン1916年》
R.シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」Op.28
[演奏]ロリン・マゼール(指揮)フィルハーモニア管弦楽団
[録音]19, 25 & 28.VI.1962, Kingsway Hall, London
フォーレ:パヴァーヌ Op.50
[演奏]アルミン・ジョルダン(指揮)ローザンヌ室内管弦楽団
[録音]XI.1981, Salle Paderewsky, Lausanne
トマジーニ:バレエ音楽「上機嫌な婦人たち」組曲(原曲:D.スカルラッティ)
[演奏]イーゴリ・マルケヴィチ(指揮)フィルハーモニア管弦楽団
[録音]13.V.1957, No. 1 Studio, Abbey Road, London
ストラヴィンスキー:交響的幻想曲「花火」Op.4
[演奏]エリアフ・インバル(指揮)フィルハーモニア管弦楽団
[録音]V.1990, Blackheath Concert Hall, London
リャードフ:交響詩「キキーモラ」Op.63、交響詩「バーバ・ヤガー」Op.56
[演奏]ドミトリー・キタエンコ(指揮)ベルゲン・フィルハーモニー管弦楽団
[録音]Grieghallen, Bergen, Norway, 20-23.II.1991
サティ:バレエ音楽「パラード」
[演奏]ミシェル・プラッソン(指揮)トゥールーズ・カピトール国立管弦楽団
[録音]8-10 & 15.VI.1988, Halle-aux-Grains, Toulouse
CD13
《シーズン1919年》
ロッシーニ/レスピーギ:バレエ音楽「風変わりな店」組曲
[演奏]アルチェオ・ガリエラ(指揮)フィルハーモニア管弦楽団
[録音]V,1959, Kingsway Hall, London
2021年 24bit/192kHzリマスター音源使用
ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」
[演奏]ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス(ソプラノ)
フィルハーモニア管弦楽団
ラファエル・フリューベック・デ・ブルゴス(指揮)
[録音]1963, Kingsway Hall, London /
IV.1964, Studio No. 1, Abbey Road, London
CD14
《シーズン1920年》
ストラヴィンスキー:交響詩「ナイチンゲールの歌」
[演奏]ピエール・ブーレーズ(指揮)フランス国立管弦楽団
[録音]VI.1981, Studio 103, Radio France, Paris
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「プルチネルラ」
[演奏]イヴォンヌ・ケニー(メゾ・ソプラノ)、
ロバート・ティア(テノール)、ロバート・ロイド(バス)
ネヴィル・マリナー(指揮)アカデミー室内管弦楽団
[録音]6-7.XI.1981 & 30.VII.1982, No.1 Studio, Abbey Road, London
CD15-17
《シーズン1921年》
チャイコフスキー:バレエ音楽「眠れる森の美女」(全曲版)
[演奏]アンドレ・プレヴィン(指揮)ロンドン交響楽団
[録音]IV-VI.1974, No.1 Studio, Abbey Road, London
プロコフィエフ:バレエ組曲「道化師」
[演奏]クラウディオ・アバド(指揮)ロンドン交響楽団
[録音]II.1966, Kingsway Hall, London [音源]Decca
CD18
《シーズン1922年》
ストラヴィンスキー:ブルレスク「きつね」
[演奏]ジュール・バスタン(バス)、エリック・タピー(テノール)、
フィリップ・フッテンロッハー(バリトン)、他
シャルル・デュトワ(指揮)楽器アンサンブル
[録音]17-18.XII.1972, Koeniz, Switzerland
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「結婚」(フランス語歌唱)
[演奏]バシア・レチツカ(ソプラノ)、アルレット・シュデル(アルト)、
エリック・タピー(テノール)、
フィリップ・フッテンロッハー(バリトン)
マルタ・アルゲリッチ、ネルソン・フレイレ(ピアノ)、
エドワード・アウアー、スザンヌ・ウッソン(ピアノ)
打楽器アンサンブル、
ローザンヌ大学合唱団(ミシェル・コルボ:合唱指揮)
シャルル・デュトワ(指揮)
[録音]27-28.V.1972, Crissier, Switzerland
プーランク:バレエ音楽「牝鹿」
[演奏]ジョルジュ・プレートル(指揮)フィルハーモニア管弦楽団
[録音]24-25.XI.1980, No. 1 Studio, Abbey Road, London
CD19
《シーズン1924年》
ムソルグスキー(R=コルサコフ編):交響詩「禿山の一夜」
[演奏]マリス・ヤンソンス(指揮)オスロ・フィルハーモニー管弦楽団
[録音]VIII.1988, Konserthus, Oslo
オーリック:バレエ音楽「はた迷惑な人たち」
ミヨー:バレエ音楽「青列車」
[演奏]イーゴリ・マルケヴィチ(指揮)モンテカルロ国立歌劇場管弦楽団
[録音]VII-IX.1972, Monte-Carlo [音源]La Guilde internationale du disque
サティ(ミヨー編):「びっくり箱」
[演奏]ジョン・ランチベリー(指揮)コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団
[録音]26.II.1978, Abbey Road Studio, London
CD20
《シーズン1927-1928年》
アンリ・ソーゲ:バレエ音楽「牝猫」
[演奏]イーゴリ・マルケヴィチ(指揮)モンテカルロ国立歌劇場管弦楽団
[録音]VII-IX.1972, Monte-Carlo [音源]La Guilde internationale du disque
サティ:バレエ音楽「メルキュール」
[演奏]ピエール・デルヴォー(指揮)パリ管弦楽団
[録音]IX.1971, Salle Wagram, Paris
プロコフィエフ:バレエ音楽「鋼鉄の歩み」組曲Op.41bis
[演奏]イーゴリ・マルケヴィチ(指揮)フィルハーモニア管弦楽団
[録音]27 & 29.IV.1954, No. 1 Studio, Abbey Road, London
ヘンデル(ビーチャム編):バレエ組曲「物乞う神々」
[演奏]トーマス・ビーチャム(指揮)ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
[録音]23.IV.1958, Kingsway Hall, London
2021年 24bit/192kHzリマスター音源使用
CD21
《シーズン1928-1929年》
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ミューズを率いるアポロ」 [演奏]サイモン・ラトル(指揮)ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 [録音]16-18. II. 2011, Philharmonie, Berlin プロコフィエフ:バレエ音楽「放蕩息子」Op.46 [演奏]マリン・オールソップ(指揮)サンパウロ交響楽団 [録音]4-7, 9.VII.2012, Sala São Paulo, Brazil [音源]Naxos
《ボーナスディスク:ディアギレフに関連した作品の歴史的録音集》
ムソルグスキー:歌劇「ボリス・ゴドゥノフ」(R=コルサコフ編)
1: 戴冠式の場~「皇帝ばんざい」
[演奏]フェオドール・シャリアピン(バス)
マックス・シュタインマン(指揮)パリ・ロシア・オペラ管弦楽団
[録音]23.I.1931, Salle Pleyel, Paris
2:戴冠式の場「わが心は重い」
[演奏]フェオドール・シャリアピン(バス)
ユージン・グーセンス(指揮)管弦楽団
[録音]27.V.1926, Queen’s Hall, London
3:第2幕~「わしは最高の権力を得た」
4:第2幕~「ボリスの苦悩」
[演奏]フェオドール・シャリアピン(バス)
マックス・シュタインマン(指揮)ロンドン交響楽団
[録音]6.VI.1931, Kingsway Hall, London
5:第4幕~「ボリスの告別」
[演奏]フェオドール・シャリアピン(バス)
ビンチェンツォ・バレッツァ(指揮)
コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団
[録音]4.VII.1928, Covent Garden, London
ストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」
[演奏]ピエール・モントゥー(指揮)グランド交響楽団(パリ交響楽団)
[録音]1929, Paris
注目のLP-BOX 『イーゴリ・マルケヴィチ/ディアギレフへのオマージュ』
コレクターアイテム必至
ディアギレフとバレエ・リュスに捧げられた「史上最も美しいアルバム」
22枚組CDと同時にバレエ・リュス関連のLP3枚組のBOXも発売されました。
『イーゴリ・マルケヴィチ/ディアギレフへのオマージュ』というタイトルで、マニアやコレクターの間では「史上最も美しいアルバム」として知られています。BOXの装画は画家のナタリア・ゴンチャロワ(1881-1962)によるもので、彼女はバレエ・リュスでは『金鶏』の衣装を手がけたり舞台美術を担当したりしており、美術の分野でバレエ・リュスに関わった芸術家として重要な人物です。
もともとディアギレフ没後25年にあたる1954年に企画され、発売されたBOXでした。今回は68年ぶりにそれを復刻したのです。
ディアギレフとマルケヴィチ
フィルハーモニア管弦楽団を指揮するイーゴリ・マルケヴィチ(1912-1983)は作曲家、ピアニスト、指揮者で、指揮者として来日したこともあります。彼は16歳の時にディアギレフと出会います。マルケヴィチの自作演奏を聴き才能を見抜いたディアギレフは、彼の演奏会を1929年7月にロンドンで開きました。その後バカンスで二人は旅行に出かけ、その直後の8月にディアギレフはヴェネツィアで亡くなりました。マルケヴィチは「ディアギレフの息子たち」のひとりであり(他に、ストラヴィンスキー、プロコフィエフ、デュケルスキーが挙げられる)、当時、若い頃のレオニード・マシーンに似ていた風貌だったそうで、ディアギレフの最後の恋人でもありました。
贅を尽くしたつくり、ディアギレフの近くにいた人物の指揮、など多くの人のディアギレフへのオマージュが詰まった「特別」なBOXです。
録音
1951-1954年、モノラル
収録曲
《SideA》
サティ:バレエ音楽「パラード」
ウェーバー(ベルリオーズ編):「薔薇の精(舞踏への勧誘)」
《SideB》
ドビュッシー:「牧神の午後への前奏曲」
ラヴェル:バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲
《SideC》
チャイコフスキー:バレエ音楽「白鳥の湖」(抜粋)
《SideD》
ショパン:バレエ音楽「レ・シルフィード」~マズルカ第23番Op.33-2
トマジーニ:バレエ音楽「上機嫌な婦人たち」組曲(原曲:D.スカルラッティ)
ファリャ:バレエ音楽「三角帽子」~粉屋の踊り
《SideE》
プロコフィエフ:バレエ音楽「鋼鉄の歩み」組曲Op.41bis
《SideF》
リャードフ:交響詩「キキーモラ」Op.63
ストラヴィンスキー:「ペトルーシュカからの3つの断章」
(文:結城美穂子)
*インフォメーション*
CCJでは5月に「バレエ・リュス」のレクチャーを予定しています。講師はバレエ・リュス研究の第一人者、芳賀直子氏で、4回シリーズで行われます。どうぞご期待ください。